2011年11月16日

食品基準の即時変更を求める

自然界と医療以外の放射線は安全性を考慮して年1mSv以下と法律で定められている。その半分の0.5mSvを食事による年間の内部被曝とすると50倍して一食25ベクレルの食事に相当する。1食の量は500g程度だから少なくとも食品基準は50Bq/kg以下にすべきである。子供の場合は放射能の影響が大人の約5倍なので食品の放射能汚染は10Bq/kg以下でなければならない。それなのに食べ物の暫定基準は500Bq/kgだ。

1)安全な東日本の食材が売れない。消費者は国産食材に不信感をつのらせている。国産より輸入食材の方が安心にみえてくる。8カ月も続く政府の暫定基準500Bq/kgが最大の原因であり、これこそが風評被害の元凶である。暫定基準を続ければ国産の信頼は落ち、多くの国に輸入を拒まれる。日本の食への不安は観光にも大きな打撃を与える。この最悪の状況を輸入自由化がさらに追い打ちをかけて日本の農業は壊滅する。東日本の多くの農産物の汚染は低いにもかかわらず、わずかな高汚染食材を売るために大多数の安全な食品が売れない。売れても業者に安く買い叩かれる。しかも混在する高汚染の食品により国民は健康を損ね、日本の未来を担う子供たちが見捨てられる。こんな馬鹿げたことを政府は8カ月も続けている。

生産者も消費者も我慢の限界である。ここまで追い詰められ背水の陣の状態の私たちは、もはや実力行使をするしかない。全国のパパママは政府に食品基準の即時変更を求め東日本の食材を排除し子供を守ろう。これからは東日本の食材は買わないと宣言する。もし肥料や瓦礫で西日本の食品も汚染したら次は国産は買わないと宣言する。この流れを全国に拡大して政府に圧力をかける。基準見直しの早期決断なしに日本の食は守れない。大幅な基準見直しは暫定基準の犠牲になっている子供と生産者を救うことになる。各自が自分の家族と子供を守ることが日本を動かす。

そして農家も政府に食品基準の抗議をしよう。「私達の農作物は500Bqより大幅に低くて安全なのに政府の馬鹿げた暫定基準のせいで売れない。売れても安く買い叩かれる。その原因は政府の暫定基準だ。差額を賠償して暫定基準値をすぐ下げろ」と抗議しよう。高汚染なら農作物をすべて政府に買い取ってもらおう。そして東電に汚された土地からの移住を要求しよう。除染にお金を使うのをやめて最優先で賠償と移住にあてるべきだ。生産者と消費者が協力して、政府に食品基準の即時変更をさせよう。

2)11月8日に環境省の外郭団体である(財)地球環境戦略機関(IGES)の専門家会議に参加した。その発表者を参考に一番下に示す。その場で私は基準値を今すぐに下げるべきだと話した。しかしそれに対して農林水産政策研究所の武本俊彦氏は「日本は民主主義だから手続きや合意で時間がかかるので暫定基準の変更があるとしても来年の4月以降」と答えた。あと半年間も子供の体を傷つけ続けるなど人間のすることではない。農水省にはまったく危機感が感じられなかった。今の政府は日本の農業をだめにすると実感した。

同じ日の11月8日衆議院予算委員会質疑で、事故当時に枝野氏はなぜ「ただちに影響がない」という発言をしたのかとの質問に対して枝野幸男(経済産業大臣、原子力損害賠償支援機構担当大臣、原子力被害担当)が「1年間同じ規制値の量を続ければ健康に影響を及ぼす可能性がある基準値。万が一、一度二度体内摂取しても健康に影響を及ぼさないという事」と答弁した。枝野氏の答弁→Youtube動画
これが真実である。しかも8カ月も過ぎて今頃言うなど、今の政府がまさに国民の健康は二の次で損害賠償を最小限にすることしか考えていないことを示している。

8カ月もたった今、枝野氏が1年間で健康に影響を及ぼす可能性がある食品基準だと明かし、それでいて基準の変更はせいぜい来年4月なのだ。このことが示すことは明白だ。政府は1年間国民に汚染食品を食べさせて国民の健康に影響を及ぼそうとしている。食べて応援の政府はもう壊れている。

3)子供たちの体はこの8カ月間つらい苦しみの悲鳴をあげ続けている。子供は日本の農業を守るための道具ではない。子供たちのために日本の農業があるのだ。今こそ子供を守る農業のために農民も立ち上がって声をあげよう。そして政府が食品の放射能基準値を今すぐに下げないなら、私たちは子供を守るために徹底的に自己防衛をするしかない。問題は放射性物質摂取の総量だから食べる量が多い食材から、各自が放射能汚染が高い可能性のある東日本の食品を徹底的に排除することだ。例えば、お米はすべて西日本からネット通販、牛肉はすべてオーストラリアのオージービーフ、豚肉は鹿児島黒豚、西日本の野菜など対策はいくらでもある。すでにスーパーには日本各地の野菜が並んでいる。冷凍野菜だってある。各家庭が摂取量の多い食材に放射能汚染のないものを使うことで子供の放射能の摂取量は大幅に減る。子供を守るために今すぐに家族で具体策を考えよう。そして今日から実行しよう。それこそが政府に対する抗議であり国民運動である。

基準値を今すぐ大幅に下げることを生産者も消費者も望んでいる。そうすれば東日本の農産物は売れ、消費者も安心して買える。基準外は国が買取って東電に請求すればいい。しかし政府はこの8カ月間『風評被害』と『食べて応援』でごまかし続けてきた。震災復興を阻害しているのは実は政府である。生産者の敵は無策な日本政府だ。消費者と子供の敵でもある。枝野氏が明かした、一度か二度なら健康に影響を及ぼさないが1年間だと健康に影響を及ぼす可能性がある基準を来年4月もしくはそれ以降まで放置して、国民に1年以上も汚染食品を食べさせるなど決して許されない。

何が東日本復興支援だ。支援するふりをして復興を阻害しているのは政府自身である。政府は真綿で締め付けるよう国民をじわじわと追い詰めて日本の農業をつぶす気だ。日本の未来を担う子供を守り日本の農業を守るために全国の生産者と消費者は暫定基準の早期変更を強く要望しよう。

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東日本大震災からの農業および食品部門の復興 IGES専門家会議(2011.11.8)

・福島原発事故による食品、農業等への影響と対応 [農林水産政策研究所 武本俊彦]
・福島原発に起因した低濃度放射性核種の農産物への影響 [東京大学大学院 大下誠一]
・放射性物質による食品汚染に対する消費者の声とパルシステムの取り組み[松本典丈]
・放射線からの食の安全確保についての取り組み [食政策センタービジョン21 安田節子]
・放射線の健康面への安全性についての情報格差と教育機関での解決策[福島医大 辻雅善]
・放射線情報と市民 [神田外語大学 中山幹夫]
・災害リスクマネジメント [UNEP Mr. Hari Srinivas]
・市民の見解:  [Mr. Antonio Portela]
・ネットワークにおける経験と課題I: 東京の放射線レベル [Mr.David Moore ]
・ネットワークにおける経験と課題II: [セーフキャスト、Mr.Pieter Franken]


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★ぜひ引き続き【子供に安全な食品とは】のブログもご覧ください。

【高汚染地域の除染をやめて避難と移住】のブログもご覧ください。
posted by 中山幹夫 | 食品の放射能汚染