2013年05月06日

「2人に1人はがんになる」のトリック(ダイジェスト)

ACジャパンはCM「日本人の2人に1人ががんになる可能性があります」をがんがん流す。もちろん「早期発見、早期治療が大切」ではあるが、それにしてもあまりにも異様な光景である。
 ACジャパン「みんなが大好きだから」(支援団体:日本対がん協会)
 http://www.ad-c.or.jp/campaign/support/02/

一方、政府と放射線学者は、2人に1人がんになるから100mSv被曝してがんが1%増加しても大差ないからこの程度は許容すべきで怖がる必要はない、という情報を流して、放射能の被曝防護を国民に軽視させる。

2人に1人はがんになるのトリック.png


これについては、国立がん研究センターの資料に詳細なデータがある。
 http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/statistics01.html

がんリスク
(年齢別)がん罹患リスク  がん死亡リスク
  (出典:国立がん研究センター)

生涯でがんになるリスクは男性54%、女性41%なので確かに約半数である。でも年齢別の数字を眺めていると、全く別の光景が見えてくる。

なお低線量被曝(100ミリシーベルト以下)では死亡リスクはがん罹患の50%とされている。がん罹患リスクは100mSvで1%なので、その場合のがん死亡リスクは半分の0.5%である。そのリスクに関して、「日本人の半数はがんになる。すなわち、もともとがん罹患率は50%だから、原発事故の被曝でたとえ発がんが1%、がん死亡が0.5%上がっても影響ない」と、子供の被曝防護さえも軽視して、政府と東電を支える放射線医療学者・医師が多い。

でも年齢別のことについて政府・マスコミ・放射線学者はあまり語ろうとしない。そこから彼らにとって不都合な真実が垣間見えてくる。

1)生涯でがんになるリスクは男性54%女性41%です。だから「二人に一人はがん」は嘘ではない。しかし、がんになるのはその多くがかなり高齢になってからなのです。しかも60歳でも男性7%女性10%にとどまり、70歳で男性19%女性16%、80歳でもまだ男性37%女性25%です。

2)ガンの年齢別の罹患リスクは長年ほとんど変わっていません。がんが増えたのは日本人が長生きになったからです。がんは細胞の老化の結果でもあります。他の病気が減って長生きになり、日本人の平均寿命が長くなれば、結果的に生涯の疾患や死因でがんが増えるのは当然のことです。

3)それに比べ子供や若者のがんは実はとても少なく、10歳0.1%、20歳0.2%、30歳で約0.5%です。40歳でも男1%女2%、50歳でも男2%女5%です。だから子供や若者にとっては、政府や学者が言う被曝でがんが1%増えることは大差ないどころか、大変なことなのです。

4)もし子供たちが被曝して患者が1%も上昇すれば、10歳なら0.1%が1.1%になり11倍、20歳なら0.2%が1.2%になり6倍、30歳でも0.5%が1.5%になり3倍にもなるのです。しかも子供の放射線への感受性が大人の5倍近く高くて、大人より放射線の影響を受けやすいのです。

このように原発事故の影響は子供や若者ほど大きくなります。もし被曝防護を軽視すれば、本来なら健康に育つはずだった子供と若者の多くが、5年後10年後に苦しむ可能性が大幅に増えるのです。


安心させてがんを増やし、不安にさせてがん検診と治療を増やす

ACジャパンのCMを支援しているのは放射線医療学者・医師が関わる日本対がん協会です。厚生労働省も同じ理由でがん検診の受診率向上を訴えていますが、どちらも年齢別については触れません。
 厚労省「がん対策について」
 http://www.mhlw.go.jp/seisaku/24.html

政府と学者・医師は原発事故でがんが増えても大差ないから被曝は心配ないと国民を安心させ、その一方で早期発見と早期治療を訴えるのです。「2人に1人はがん」を理由に国民に被曝防護を軽視させてがんを増加させ、「2人に1人はがん」になるからと必要以上に不安にさせてがん検査を勧めるのです。がん検診のリスクにも触れません。

「歯磨きをしなくても安心。でも検査と早めの治療が大切です」なんて言う歯医者はいません。もしいたら金に狂った極悪な歯医者です。でも、おかしなことに、政府と学者・医師にとって国民は「被曝防護をしなくても安心。でもがん検査と治療は大切」なのです。まるでお金欲しさで心を失った歯医者のようです。

2人に1人はがんだと洗脳されて国民が原発と放射能をあきらめれば政府は原発を推進できます。原子力学者と原発企業と電力会社は得をします。東電の賠償も減ります。国民が被曝防護を軽視してがん患者が増えれば、医療費増で儲かる人がいます。子供たちも含めた国民の命と健康を踏み台にして、政府と医師学者、電力会社と原発企業の利害は一致しています。

政府とマスコミと放射線学者は正確な情報を国民に伝えるべきです。放射能の危険と被曝防護の重要性を訴えて国民のがん増加を抑え、その上で、がんの年齢別の現状を伝えて適切な早期発見と治療を啓蒙すべきです。

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この記事は下記ブログの要約です。ぜひ下記もご覧ください。より分かりやすいです。情報を読み解く力と、騙されないための底力もつきます。
「2人に1人はがんになる」のトリック
posted by 中山幹夫 | マスコミ